油絵講師がおすすめの油絵の質感表現 

どうも、Houichiです。 絵を描いたり、絵を教えています。

美術や絵を愛する全ての人のために発信します。

油絵具で描く絵画作品
油絵の具で描く絵画作品

さて皆さんは油絵にどういった印象を持っていますか?

よくわからない人や印象派みたいな色彩豊かな作風をイメージをする人もいれば、バロック時代の古典絵画のような明暗が劇的に表現された絵を思い浮かべる人もいると思います。

結論から言うと、どれも正解です。でもこの 油絵のイメージを作り出しているのは図像の雰囲気だけでなく、絵の具の質感にも大きく影響を受けているんですよね。

西洋の油彩画つまり油絵の歴史を踏まえれば、その醍醐味の1つはやっぱり質感のギャップでしょうね。

さらに 空間や存在感を表現する目的 で油絵の具が作られているため本物らしい絵がかけるんです。

ということで今回は油絵の具の質感について、話していきます。

目次
1・油絵の具はゴテゴテに塗って描くだけじゃない
2・不透明絵の具の用途
3・透明絵の具の用途
4・まとめ

わかりやすい油絵の制作プロセス

1 絵の具はゴテゴテに塗って描くだけじゃない

「絵の具の質感とはなんぞや?」ということですが、詰まるところ 不透明と透明の間の変化 に付きますね。

人によっては油絵のイメージと言えば、厚く画面に塗られた絵のことで、大雑把に描かれたものだと思っているのではないでしょうか?

けれど油絵はもっと多様な描き方があるんですよねぇ。例えば、薄く繊細に描くことも出来るし、厚塗りと薄塗りを交互に重ねて複雑な質感表現も出来たりします。

なぜこのようなことが出来てしまうかというと、

実は色の素である 顔料とそれを画面に広げて接着させる油の比率次第でさまざまな質感を演出 できちゃうんですよね 。

僕が油絵を初めて間もないころは知識がなく、不用意にゴテゴテに塗りたくってしまいました (笑)まだ水彩の方が描きやすいと思っていました、、、(苦笑)

2 不透明絵の具の用途

存在感や前進感、物質感を感じさせることが不透明絵の具の特徴ですね。

これは油絵の具に限らず全ての絵の具に共通している特徴で、つまり下の面を覆い隠す力です。

油絵の具の不透明絵の具は特に物質感や厚みを出すのに優れています。理由は西洋が昔から物質を重んじる歴史を辿って来たからなんですよね。

とにかく明暗の変化を色だけじゃなく、質感でも分類したい!

油絵を用いたリアリスティックな絵画が西洋で発明され理由も西洋人が物質を重んじることに由来するんですよ。

やっぱり西洋の古典絵画は光の方に存在感や物質感を感じやすいから、不透明絵の具がよく使われるんですよ。

特に人物の肌を表現することにはもってこいの絵の具といえますね。

とはいえ、影は地味で暗く存在が希薄に見せたほうが自然だからあまり不透明絵の具を多くは使わないようにするほうが古典絵画としては一般的ですね。

それから油絵で空間を演出するときには 前景や手前のものに不透明色絵の具を 厚く 乗せ、遠景や遠くにあるものは不透明色絵の具を少なめに乗せます。

下の油絵作品の例は実際にこの方法で描かれた僕の絵画作品の部分です。

3 透明絵の具の用途

透明絵の具の用途も文字通り透明感を出すことを目的とします。西洋古典絵画では主に影に使います。

透明感を出す理由は3つあります。

① 影の質感を演出するため
② 空間、奥行きを演出するため
③ 色の深みを演出するため

①は先程不透明色絵の具の章で話した西洋の考え方になるけれど、影の質感を出すためです。

やっぱり、影の中って静かな感じがするじゃないですか。逆にゴテゴテに影が厚塗りされていたら光側を邪魔しちゃう気がしませんか?

僕は何度か実作を見たことがあるんですけど、劇的な明暗法を用いて人物表現したことで有名な油彩画家(油絵画家)のレンブラントやカラヴァッジョの作品も実際に見ると 

光側は厚く不透明絵の具を、影側は薄く透明絵の具を何層にも重ねて描かれていますね。もちろん画面全体にも透明色を塗ることもありますが。下の作品はレンブラントの晩年に差しかかったの自画像ですね。

②は空間を演出するのに適していることです。

不透明絵の具だけで明暗や色を合わせても空間を表現できますが、透明絵の具を活用することで、もっと実感できる空間を演出できるんですよね。

不透明絵の具の下地や描画層の上に透明絵の具を薄く乗せるとその部分が奥まって見えるんですよね。

下層が透明絵の具をすり抜けて物理的に目が下層までの距離を感じてしまうのです。

何故かと言うと、 透明絵の具は色の顔料の粒が不透明絵の具よりも小さい。 

だから、どうしても下層の絵の具の色が透明絵の具の顔料の粒の隙間から見えるから全体として透明な絵の具の色に見えるんですよね。

「なるほど~」と思った人、 実はこの視覚効果は透明な色付き下敷きを紙の上に敷いたときの見え方と同じ なんです!案外身近なものに似たしくみがあったんですね~。

③はやっぱり色味を整えるときに効果を発揮します。

不透明絵の具の鮮やかさって大体透明絵の具より落ちます、、

理由は固有色に白みのある色が混ぜられているからです。特に明るい色ほど白みが増して詰まった印象を与えてしましますね。

特に白色を混ぜて明るくした色は鮮やかさがかなり下がります、、、

こんな事態に陥らないためにも、透明絵の具が必要なんですよね。

透明色は重ねれば重ねるほど彩度(鮮やかさ)が増します。そして明度が下がります。

薄く画面上にのせて伸ばせば伸ばすほど微妙で繊細な濃淡や色差の変化を作れてしまうんですよね!

まるで魔法みたいな現象に見えてしまうことだってあったりします~。

4 まとめ

・不透明絵の具
油絵の具には不透明から透明までの質感の変化が楽しめる絵の具で、不透明絵の具を使えば厚く乗せて描けるし、光や物の存在感を表現することが出来る。

・透明絵の具
薄く伸ばせば下の色味がすけて見えて画面に奥行きを感じさせることができる。
色が美しく響き合い、深みを出させる。

・さらに油絵の具不透明と透明の性質を重ね合わせることで絵の具を混ぜるだけでは作れないより深い色味と質感を表現したり演出できる。

油絵を描いてみたい人は是非試してみてください!

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最後まで読んでいただきありがとうございます!それでは次回の記事でお会いしましょう。楽しい1日をお過ごしください!

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