どうも!Houichiです。絵を描いたり、絵を教えたりしています。

油絵具で描く絵画作品

油絵の具で描く絵画作品

僕ら人間には絶望の中から希望を見出すという類まれな能力があるのですが、これを絵画で追求したのが鴨居玲という洋画家(油絵画家)です。

主な題材に「おばあさん、酔っぱらいのおじいさん、道化師」などがあります。

絵は一度見たらその独特な人体の造形や表情の描き方が頭に焼き付いて忘れられないくらい個性がありますが、青年時代は作品の方向性につまづいていた時期もあったようです。。。

では彼の人生と作品を見ていきましょう。。

目次
・略歴
・作品の変化
・成功と挫折
・作家の人柄

・略歴

http://www.nichido-museum.or.jp/curator/2021/03/camoy.html より引用

まずは略歴を見ていきましょう。

1946年 金沢市立金沢美術工芸専門学校 (現在の金沢美術工芸大学)に入学し、宮本三郎に師事する

1950年 二紀会同人に推挙される

1952年 芦屋・田中千代服装学園の講師となる

1959年 渡仏 (1958年という説もある)

1961年 帰国し、二紀会を退会する

1964年 創作に行き詰まり、南米、パリ、ローマを渡り歩く

1965年 帰国

1967年 二紀会同人に推挙される

1968年 初の個展/この時、下着デザイナーの姉・鴨居羊子を通じて知り合った小説家・司馬遼太郎と親交を持つ

1969年 昭和会賞と安井賞を受賞

1971年 スペイン・ラ・マンチャのバルデペーニャス村にアトリエを構え、制作に没頭 (~74年まで)

1984年 金沢美術工芸大学の非常勤講師として講義を始める

1985年 神戸市の自宅で排ガスにより自殺/心臓の病気と、創作に行き詰まり ,たびたび自殺未遂を繰り返した末の死だった/享年57歳

さて鴨居玲の出生に関してなんですが、2つの説があり、石川県金沢市と大阪府高槻市の二つのようです。どうやら出生届が出されていなかったらしく、本当とのところは謎に包まれたままです。。

ただ石川と大阪の両方にゆかりがあるのは確かでしょう。ちなみに両親は長崎の人だそうで、兄弟姉妹には下着デザイナーとして活躍する鴨居羊子という姉がいました。

・作品の変化

「夜(自画像)」 (1947年)

1946年に金沢美術工芸専門学校(現在の金沢美術工芸大学)に入学し、昭和洋画壇を代表する画家、宮本三郎に師事します。また在学中に二紀会に出品し、入会するほど才能を認められ始めてはいたんですが、作風はまだまだ確立せず、具象や抽象など色々と模索し苦悩します。

風船と少女」(1965年)

その悩みを打破するべく自身初の海外修行の旅としてブラジルに渡ります。そこで具象絵画に可能性を見出しつつ人物画を掘り下げていき、帰国とともに「静止した刻」の出品によって当時権威のあった安井賞を受賞するんですね。。

静止した刻」(1968年)

国内で製作しつつも海外に可能性を見出した鴨居玲は1971年に拠点をスペインのバルデペーニャスへと移します。

ここでの9ヶ月間の時間は作家に豊かな実りを与え、たくさんの傑作が生まれています。

おっかさん」(1973年)

そして1974年にパリで個展を開き成功を収めます。これによってフランスへ移り住み、制作を開始するんですね。

村のよっぱらい」(1974年)

「蛾」 (1976年)

・成功と挫折

1977年に6年間の海外の滞在に区切り付け、帰国し神戸にアトリエを構えます。この頃から自画像を製作することが多くなっていきました。

とはいうものの、安井賞をきっかけに絵の方向に光が刺し、人生で最も充実したと言われるスペインでの制作と個展などの成功体験を経たのですが、、、その後、過去の作品を超えられない問題が起こりました。

次の作風を模索し、挫折や苦悩にも直面してい時期だったんです。。。

そしてついに苦しみを乗り越えて、自身の集大成とも言える「1982年の私」を描きあげます。

1982年の私」(1982年)

その後もしばらく脂の乗った作品を幾つか描きあげていきます。

出を待つ」(1984年)

だけれど、次第に年齢の衰えにより心臓病が悪化、またさらなる高みを求める体力の減少によって、自死という選択をしてしまったのです。。

・作家の人柄

そんな鴨居玲も作品に見られるようなシリアスな人格と裏腹に子供っぽくわがままな部分もあり、憎めない人柄でもあったようです。

また制作スタイルも過剰で、一つの絵を完成させるのに100枚はデッサンを描かないと気が済まなかったそうです。

その上デッサンを描いた後はさらにエネルギーた最頂点に高まるまで筆を握らず、高まった時に一気に描きあげることが多かったそうです。

狂人とも言える技ですね。。。

個人的には人にはそれぞれペースがあるので自分に合うペースが良いかと思います。

まとめ

僕の中では鴨居玲は日本に洋画の太い根っこを植えたアーティストと思っています。

しなやかで力強く見応えがある絵画を描く数少ない画家の一人と言えるでしょう。。

最後までありがとうございます。楽しい1日をお過ごしください!

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