どうも!講師のHouichiです。今回は癖を直すための効果的な3つの方法という
テーマで話していきます。
さて、絵を描く、彫刻をする、写真を撮る——どんな美術の分野でも、「癖」はつきものです。
それが「個性」と呼ばれることもありますが、時に作品の幅を狭めたり、
成長を妨げたりする要因にもなり得ますよね。
今回は、特に美術分野での制作に関する癖を意識的に直すための、
効果的な3つの方法をご紹介します。
①視覚日記をつける――“毎日描いて振り返る”習慣化
②他者視点フィードバック――“見せる勇気”で盲点を消す
③制約付き制作――“縛りプレイ”で感覚をリセット
①視覚日記をつける――“毎日描いて振り返る”習慣化

癖は意識しないうちに指や目線に染み込むため、まずは自分の癖を「見える化」することが
先決です。スケッチブックや iPad で一日1ページの《視覚日記》を付け、
モチーフもツールも気分で決めて良いでしょう。
普段描いているものにこの習慣を付け加えるだけでも構いません。
重要なのは 24 時間以内に必ず振り返りメモを書くことです。
たとえば「右上がりの線が多い」「影を濃くし過ぎる」など、客観的に書き出すと
癖のパターンが浮上します。
現役イラストレーターの鈴木遥さんは、この方法を3か月続けてから
「人物の頭部を大きく描き過ぎる」癖に気づき、顔と肩幅を比率シートで
測り直す習慣を取り入れました。
結果、ポートレートの構図が安定し、
クライアントワークのリテイクが激減したそうですなんですね。
②他者視点フィードバック――“見せる勇気”で盲点を消す

自分一人の観察では限界があります。月1回でも良いので
信頼できる第三者に講評を依頼すると効果があります。
オンライン講評会や SNS のポートフォリオレビュー機能を使うのも手です。
こういった例と同じく、本教室はその役割を果たしていく姿勢を大切にしています。
重要なのは「どこが良いか」だけでなく「どこが引っかかるか」を具体的に聞き出す質問力。
たとえばアクリル画家の三宅浩平さんは、完成前の作品を美大時代の同期に送り、
「筆跡の方向が常に左上から右下へ流れている」と指摘されました。
そこであえて逆方向のストロークを取り入れる練習を行ったところ、画面に緊張感が生まれ、
展覧会での評価も向上しているそうです。自覚のない癖には、外からの光を当てることが最短ルートなんですね。
③制約付き制作――“縛りプレイ”で感覚をリセット

癖の多くは「楽な手順」に依存して生まれます。そこでおすすめなのが
意図的な制約を課す制作です。たとえば
- 利き手と逆の手で5分間だけ描く (筆者も経験済みですが、脳神経が広がる感覚がしました。)
- 3色のみで一枚仕上げる
- 形の歪みの確認する方法を変え、確認回数を普段の3倍にする
といったゲーム感覚のルールです。
京都の若手日本画家・森下沙織さんは、毎週日曜を
「逆手デー」に設定し、細筆で花弁を描く課題に取り組みました。最初は形が崩れましたが、
2か月後には筆圧のコントロールが格段に向上し、
従来の筆致でも不要な力みが取れたと語っています。
新しい神経回路を開通させることで、古い癖は自然に薄まるわけです。
まとめ――癖は「敵」ではなく「素材」になる

癖を直す3ステップは、①視覚日記で可視化し、②他者の視点で盲点を洗い出し、
③制約付き制作で身体ごと上書きすることでした。
どれも“自分の外側”に検証材料を置く点が共通しています。
癖は完全に消し去るより、意識下に置いて選択的に使える状態にしたほうが
作品の個性として活かせます。
今日の制作から早速試してみてください。
作品と一緒に自分自身もアップデートされる感覚が味わえるはずです。
最後までありがとうございます。