どうも!講師のHouichiです。
今回は「デザインの視点でデッサンを捉えてみる」というテーマで話してきます。
デッサンは見たものを2次元の平面に写しとる能力を鍛える方法として極めて優れています。
正しい練習を重ねていけば、誰でも、描けるようになり、自由な創作の下地となり得ます。
そして、うまくいけば想像以上のレベルまで上達することもあるでしょう。
さて、写し取るということは、ありのままのイメージを画面に映すと考えられやすいですが、
実際のところ、そのまま見た感じを移しても、感じたすべての印象を画面に
収めることは難しいんですね。
やっぱりデッサンはモチーフから感じたことを客観的でありつつ、
主観的な視点で見せたいところを意図して編集してあげることで、
作者が感じた感動や感覚をよりはっきりとみる人に伝えることができるわけですね。
そしてこのはっきりとみる人に見せる、「見やすさ」をこだわるにあたって
デザイン的な視点が役に立ちます。
それでは具体的な例をみてみましょう。
・要素を際立たせる
・省略・整理
・遊び心やこだわり
・要素を際立たせる
1つ目は要素を際立たせることです。先ほど言った、見せたい点をはっきりわかりやすく
見せるために必要な方法です。
デザインでは分かりやすく、簡潔に伝えたいメッセージを表現することが
重要ですが、これは伝わることがとても重要であるからです。
デッサンでも、2次元の上に3次元を描くときに特に失いやすい要素は触覚で、
これは両眼で見たときに感じやすいものです。
両眼で見れば、物と物の距離感、奥行きがすぐに感じられ、多少明暗が曖昧でも、
モチーフのボリュームを簡単に把握することができます。
つまり、両目を使えば、ものに触るように見ることができるんですね。
ですが、平面上で両眼で見た感じを出すためには、それなりに工夫が必要です。
そしてそのうちの重要な要素が際立たせることです。
例えば、実際の明暗よりも強めに描いて、
その間の色調を増やしてボリュームを際立たせることや、線の流れと鉛筆などの画材の質感
を駆使して、平面上でも触覚的な効果を出すことができます。
そしてさらにどこを際立たせるのか、ポイントを絞ることで、
より明確に狙いを伝えることができます。
・省略・整理
続けて、ポイントを絞るということは、目立たせる部分と押さえる部分、
つまり実際に見えた感じよりも省略する部分が必要なんですね。
省略することで、描き込んだ部分が目立つので、見せ場が引き立ちます。
さらに省略は見る人に想像の余地を残し、見えないけれど、
描かれた部分がきちんと表現されていて、洗練されているイメージを与えることができます。
省略するためにも情報を整理する能力が必要になってきます。
要素や領域ごとに振り分け、どの部分をどれくらいの割合で仕上げるのか、
こういった能力もデザインには含まれています。
決して積み上げるだけではなく、時には削ることで、効果的に見えることがあります。
・遊び心やこだわり
デザインとデッサンい共通する点に遊び心とこだわりがあります。
どんなに伝えると言っても、堅苦しすぎるとあまり良くない場合が多いのではないでしょうか?
伝えたい内容をはっきりさせた上で、どこかユーモアのセンスを取り入れたり、
さらにこだわったりすることで、より一段と魅力的な絵が描けます。
例えば一定のリズムの中に、あえて崩れた部分を作ったり、バランスとアンバランスを
両方意識することで、堅苦しさを押さえることができます。
自然物のモチーフであれが、綺麗な線に崩れた線や曲がった線を入れることで、
ランダムな感じが出て意外性が出たり、モチーフを置く角度を少し
変えるだけでも、面白い造形が見えてくることはよくあります。
この辺はデッサンのジャンルでは意見が分かれやすい点ではあるんですが、
意識してみると、良い意味で脱力したデッサンや絵が描けるようになります。
ぜひデッサンや絵を描く時に意識してみてください。最後までありがとうございます。