なぜ粗描きでも絵が洗練されて見えるのか

なぜ粗描きでも絵が洗練されて見えるのか

どうも!講師のHouichiです。

今回は「粗描きでも絵が洗練されて見える理由」というテーマで話していきます。

絵の完成度でイメージしやすいのが、丁寧に時間をかけて仕上げた作品ではないでしょうか?

繊細な色調と、不自然なく強イメージは、理解するためのシンプルな要素であり、

絵に詳しくなくても、一定のインパクトを持って鑑賞者に

迫ってくるものがあるのは確かです。

でも、時には粗描きの絵でも、素晴らしく感動させるものがあるのは何故でしょうか?

手数は少なく見えるけど、迫力があり、記憶に残ることは容易ではありません。けれども、

要点を押さえて、繰り返し練習する中で、コツを掴むことがあります。

油絵で言えば、レンブラント・ファン・レインの初期の油彩は繊細で緻密である一方、

晩年の油彩はかなり、粗い筆致で描かれていているんですね。

初期の油彩↑

けれども、晩年の作品にはなんとも形容し難いない、奥深さが感じられると思うんですね。

晩年の油彩↑

また漫画にもよくあることですが、例えばワンピースやハンター✖️ハンターなどを見ても、

初期の丁寧さと後半の絵の筆致の変化は容易に感じられるのではないかと思います。

(画風が気になる場合は一度画像検索してみてください。)

けれども、それがマイナスかと言われると、決してそうではなく、むしろ躍動感や、

感情表現が豊かになっていると捉えることもできると思うんですね。

そこで、今回は粗描きでも絵が洗練されて見える理由、その要素を見ていきたいと思います。

・描く要所を押さえているから

・描かない部分で想像力を掻き立てるから

・粗描きは雑にではなく、丁寧に描くことだと理解しているから

・描く要所を押さえているから

まず1番の理由としてはやはり、描く要所を押さえているからです。

粗描きのわかりやすい要素の一つに手数が少ないことが挙げられます。

手数が少ないから、解像度が低く、粗いと感じるわけですね。

この解像度が少ない状態でも洗練させてみせるにはそれなりに技術が必要で、

そのためには要所を押さえる必要があります。

そして要所は主に3つがよく扱われます。

以下に3つ挙げてみます。

1明暗対比

1つ目は明暗対比です。

明暗対比は絵やグラフィック的な仕事をする上で、最重要の要素の一つです。

多少未熟な部分があっても、明暗対比さえコントロールできれば、それなりの

絵が描けてしまいます。

これが粗描きをするときにも重要で、この場合、対比が強くはっきりしている部分と弱い部分の

緩急をしっかりつけて、必要なだけ描いてあげることで、

短時間の粗描きでも洗練されたイメージを与えることができるんですね。

2重心

二つ目は重心です。これは少し抽象的な考え方ですが、描きたいイメージの重さのバランスを

保つ重心が、モチーフの、あるいは画面のどの部分にあるのか、この重心に合わせて、周りの形のバランスを考えることで、安定感のある画面作りができます。

例えばモチーフの重さはどこに集中しているのか、どこに重さが乗っているのか、

この意識があると、自ずと意思を持った絵作りができます。

ここを意識できていれば、粗描きでもかっこよく絵を仕上げることができます。

3リズム

重心と少し被る部分がありますが、絵を描くうえで、リズムはとても大切です。明暗の変化にも

リズムがあり、線の緩急もリズムで、モチーフや形の配置も全てリズムを生み出します。

リズム感さえ掴められれば、短時間でも、魅力的な絵を描くことができます。

・描かない部分で想像力を掻き立てるから

次の理由としては、やはり、描かない部分が想像力を掻き立てるからでしょう。

上手な粗描きの絵はやはり、描かない部分と描く部分を等しく扱っていて、

だからこそ、描かない部分にも何か空間めいたものを感じさせたり、物を言ってくるんですね。

そしてこれができるようになるには、やはり時間をかけて枚数をこなすことで、

どこかのタイミングで、一気にわかるようになってきます。

最初は慣れた描き方でできるようになり、

慣れてくれば、描き方や画材、媒体が変わってもできるようになります。

・粗描きは雑にではなく、丁寧に描くことだと理解しているから

最後の理由はやっぱり、粗描きの中にも丁寧の意識があるからだと言えます。

粗く描くということは、それだけ少ない情報量でものを言わせなければいけないわけで、

そのためには、やはりイメージの観察を丁寧にしなければできないんですね。

選び抜かれた情報を画面に注ぐイメージです。1手1手を素早く、できるだけ丁寧に

画面に乗せていくことで、説得力のあるメッセージを見る人に感じさせることができます。

よくある勘違いとしては、大雑把な粗描きは、雑にものを見ているものがありますが、

いざ描いてみると、安易な気持ちで描くことができないことがわかると思います。

但し、気楽に落書きすることは想像力を育てることもあるので、今回あげる粗描きとは

違うものであることを補足します。

作品の良し悪しは確かに時間の積み重ねが重要ですが、それが短時間で描かれた粗描きの

作品の中にも、時間の蓄積によって得られた造形力や直感、

整理力が垣間見れることがあるんですね。

今後の制作の参考になればと思います。

最後までありがとうございます。